塩田剛三の理想の館とは何か?
父は子供の頃、色々な病気をして病気のデパートのようだと言われていました。
祖父は小児科医で、昔は書生が沢山居て元気な子供をつくるため剣道の道場(養神館)を創りました。
これは、合気道人生の本の中の写真にも残っています。
暴れん坊でもあった父は柔道を始めて、参段以上を取っていました。
周りにはかなう者はなく、祖父がほどほど手を焼いていた時に、合気道を創った人で凄い達人が居ると聞いて、天狗に成っていた父を、祖父が植芝盛平先生に会わせました。
しかし、この事を知っている人も多いでしょうが、なめてかかっていった父は一瞬の内に投げられ、気がついた時は、病院の一室に居ました。
父の合気道への開眼は、その時からでした。
それから先生に離れる事なく「行住坐臥一切の時勢これ最善の道場」を実践していきました。そこで学んだ事は対すれば相和す、です。
此が本当の合気道だと私も思っています。
殺しに来た人と友達になれ!合気道で世界平和を!とは、この対すれば相和す、ではないかと思います。
今の社会ではなかなか実現出来ない究極な言葉だと思います。
ちょっとした事で喧嘩したり戦争が始まったりしています。
人間関係もなかなかうまくいかないことも多いと思います。
坂本龍馬、山岡鉄舟の事を父が尊敬していたのも解る気がします。
父の創った養神館は、祖父が困った人を救って大きな心(神)を育てるという事を原点に創りました。
多くの著名人が、父の技と心に惚れて父の為に創ったものでした。
どんな偉い人でも、喧嘩っ早い人でも、合気道をやっているとスッキリして嫌な事も忘れて、皆が楽しくなっていき、笑いが絶えなくなっていきました。
そこには上下の差もなく、人間として接する事が出来る調和の場に成りました。
塩田合気道は、その原点である対すれば相和す、という心を大事にして勉強する所で有ります。
自分が修行することは、すればするほど周りの人には輝かしい存在になるでしょうし自分自身の成長にもなります。
修行とは人に見せるようなものでは有りません。
輝かしい存在になるには、それぞれがひたすら無に成って進める道を進む事だと思います。
それを人が見て評価するのが、その人の生き様です。
強くなるとは自分に強くなることで、他人に押し付ける事ではなく和の心を学ぶ事だと思います。
楽しい所には人が集まります。
親しみやすい人に、何か入り込む事が出来ない奥深さを持てる、輝ける人になるために日々学んでいく事が大事だと思います。